「契約機関に関する届出」は必要か

今回は「契約機関に関する届出」についてご紹介いたします。「技術・人文知識・国際業務」で日本に滞在している外国人は、一定の事由が生じた際には、「契約機関に関する届出」を入管へ提出する義務があります。しかし提出を求められる場面は数多くある一方で、手続きが漏れてしまっているというケースも少なくありません。そこで今回は①提出義務が生じる場面、②提出義務を怠った場合の在留資格への影響の2点を中心に解説していきます。

まず「①提出義務が生じる場面」については、外国人が今の勤務先を退職した場合や新しい勤務先へ転職した場合が挙げられます。また、あまり多いケースではありませんが、勤務先の名称・所在地が変更した場合や勤務先自体が消滅した場合にも義務が生じるとされています。確かに「技術・人文知識・国際業務」のビザは転職の際に変更申請が不要とされております。しかしながら「契約機関に関する届出」に関して、転職(再就職)をした日から14日以内に提出が必要とされているという点には注意が必要でしょう。(※ちなみに転職先が決まっていない状態で退職した場合においても、退職日から14日以内の届出義務はあります)

次に「②提出義務を怠った場合の在留資格への影響」についてですが、現実には「契約機関に関する届出」を出し忘れるケースが少なくありません。そもそも、届出義務の不履行を理由として直ちに申請が不許可になるという訳ではないため、14日の期間を経過した後に届出義務を果たすケースも珍しくはありません。しかしながら、本来「3年」の在留期間をもらえるケースにおいて「1年」しか在留期間をもらえなかったというケースが存在していることからも、すでに転職をして大幅に時間が経過しているからといって「契約機関に関する届出」を提出しないのは得策ではありません。やはり、今後の永住権取得(3年の在留期間が要件)なども見据えて、次回の更新申請までに事前に「契約機関に関する届出」を提出するべきでしょう。これは、提出義務の不履行により、本来3年をもらえたはずの在留期間が1年になるといった事態を防ぐ為です。

最後に、よく混同されがちな点ですが、「就労資格証明書交付申請」は任意である一方、「契約機関に関する届出」は転職時の提出が義務となっております。入管からの案内と実際の運用にギャップがあることも、外国人の皆様の理解不足を招いているといえます。自分がどのケースに該当するのか判断がつかない場合は、行政書士などの専門家を利用して判断を仰ぐのも一つの手ではないでしょうか。「契約機関に関する届出」が外国人の皆様の長期的に日本で就労したいという希望を実現するきっかけになればと思います。