今回は特定技能1号への移行を見据えている技能実習生を採用する企業様へ、技能実習の実技試験に不合格となった場合の運用に関して実例を交えてご紹介いたします。某企業様で、技能実習生が3年の実習期間を終える為、特定技能1号に移行を検討していた中、技能実習の技能試験に不合格になってしったというケースを耳にしたことがあります。このような場合、特定技能1号への変更はできないのでしょうか?
具体的な例を見ていくと、技能検定3級などの試験に不合格になってしまっても、一定の条件を満たせば特定技能1号に移行することは可能となっております。具体的には下記3種のパターンがございます。第一に「特定技能1号評価試験」と「日本語能力試験」に合格した場合です。この場合、申請人にとって、改めて2つの試験を受験する事になり、多少なりとも負担になる可能性があります。次に「技能実習2号を良好に修了」した場合で、この場合は上記の試験合格は不要となります。しかしながら、技能検定3級などの試験に不合格だったのに「良好修了」とはどういうことかと疑問に思われることでしょう。
あまり馴染みのない言葉かもしれませんが「技能実習生に関する評価調書」を提出した場合がこれに該当します。実技試験においては不合格であったものの、特定技能所属機関(受入先の企業様)と監理団体が「技能実習生に関する評価調書」を作成し提出すれば「技能実習2号を良好に修了」した証明書となります。
では、評価調書も提出できない場合ではどうしたらよろしいでしょうか。その場合は、下記①②を満たせば変更できる可能性があります。①申請人を技能実習生として受け入れていた場合②技能実習法の「改善命令」や旧制度の「改善指導」を過去1年以内に受けていない場合上記①②を満たせば「評価調書」も提出不要となり、認知度は低いものの実務上は頻繁に使われている、という点は重要ではないでしょうか以上のように、例え技能検定3級の試験に不合格になったとしても、特定技能1号に変更できる可能性はありますので、ご安心ください。
最後に、技能実習生を採用する企業様が、引き続き特定技能1号に変更して受け入れるというパターンは少なくありません。その場合、ほとんどのケースで「技能検定3級合格証」や「技能実習生に関する評価調書」の書類提出は省略できる可能性があります。これから特定技能へ移行する技能実習生を採用する方にとって、今一度、制度への理解を深めるきっかけとなれば幸いです。