「企業単独型」での技能実習受入れ

技能実習制度の改正のニュースを受けて、「企業単独型」という言葉を耳にする機会が増えてきました。技能実習制度には「企業単独型」と「団体監理型」という二つの受入れ方式があり、皆様が一般的にイメージされる技能実習生の受入れは「団体監理型」が大半を占めております。それでは「企業単独型」とはどのような受入れ方式なのでしょうか?

今回はメリット、デメリットを踏まえたうえで、特徴を解説いたします。

企業単独型のいちばんの特徴は、企業自身が海外支店やグループ企業・取引先などから技能実習生の受入れを行えるという点にあります。監理団体を経由しないことから、技能実習生の性格・人柄を事前に把握したうえでの受入れが可能になり、また監理費が発生しないという点は企業側にとって大きなメリットといえることでしょう。加えて、帰国後も現地の支店やグループ会社で勤務できるため、受入れに要したコストを回収する見込みがつけやすいという点も注目すべきポイントです。

一方、デメリットとしては手続きの煩雑さが挙げられます。監理団体を通さない受入れのため、入出国の書類手続きや、入国後の実習・講習をすべて受入れ企業自身で対応する必要があり、場合によっては行政書士などの専門家に頼らざるを得ないという実情がございます。また、企業単独型での受入れが可能な企業の要件として、海外に支店・グループ企業などの現地法人があることが求められている点からも、一定のハードルが企業側に課せられていることは間違いないでしょう。

以上、メリット、デメリットを中心に「企業単独型」について解説させて頂きました。海外に現地法人を持つ、規模の大きな企業の皆様が技能実習制度の改正を受けてどのような方向性に舵を切っていくのか、企業単独型での受入れはどこまで機能していくのか等々、関心事は尽きませんが、技能実習制度が大きな転換期を迎えていることは間違いないでしょう。日本で働く外国人にとっても、外国人を受入れる企業様にとっても、制度改正が良い方向へ進むことを願うばかりです。